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┗口唇シンセサイザー -Le Monstre-(7-16/16)
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16 :
忍足侑士
2011/08/30 00:35
終ぞ、片想いやった気ィする。
そないな相手が居って、まあ、それは恋愛感情ではあらへんのやけれども。
一方通行気味やった事に関しては片想いで間違えてあらへん筈。
もしかすると、一方通行やなかったのかもしれへん。
ただ、俺には余り解らんかったんよ。
自信が無い、の方が正確かもしれへん。
俺は好きやけど、好かれとる自信は無いっちゅうか。
そない役にも立てへんかったしなあ。
元気にしとるんか。
どないしとるんか。
俺は相変わらず、や。
声を掛けたいとは思うんやけど、さようならを告げられた身やさかい。
気付かん、やろうなあ。なあ。
名前も呼べへん。残念や。
今年は懐かしい夏になりそう、やな。なあ。
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15 :
忍足侑士
2011/03/04 13:30
>>「馬鹿な女ね、」
冒頭の科白からコンマ一秒。動揺に刹那、頭が真っ白になったのはどう仕様も無く。火掻き棒で腸を掻き回されとるかのような羞恥を呑み込んで胡乱な視線を横に投げ掛ければ、比較的大人しゅうて目立たないタイプのクラスメイトが居た。(…彼女は俺の隣の席やさかい、居て当たり前なんやけれども。)同じ硝子越しの瞳は爛々と輝いており、何処か危うい。
>>「気付いてないの?」
俺が沈黙を貫いとることをどう捉えたのか、綺麗に整えられた柳眉を歪に歪める。(嗚呼、よお見たら結構整った顔立ちをしとるなあ。)彼女の視線の先を見る勇気は、無い。小さく頭を振って否定を示した。
気付きたくはあらへんかった、未だに無駄な悪足掻き宜しく認めてへん。そないな俺の心中を察したのか否か、彼女は頬杖をついて俺から視線を逸らした。
彼女はそれきり何も言わんかった。ただ時折、隣から憐れみにも似た視線が注がれるだけで。不自然に曲げられた俺の視線は、それを視界の端に写すことを良しとしない。
――…つい最近の、出来事。
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14 :
忍足侑士
2010/07/17 11:43
嗚呼、懐かし。
久方振りに訪れた町で見付けた、姿。透き通った雰囲気を相も変わらず、纏っている様で。あの頃と変わらず大層、綺麗な御仁やったよ。蝶々は何時まで経っても蝶々やったんやろうか。俺は空白の時を、何も知らない。擦れ違い様に少し触れ合った、あの時間しか知らない。それでええんやろう。青臭い程に懸想して、走り回って追っかけて散々吼えた。懐かしい。少しだけ鼻奥がツン、としてまうけれども。
あの時、彼の口唇が動くよりも先に、確りと伝えていれば何か変わっていたのやろうか。あの時、ああしなければ少しは違っていたのやろうか。随分とそんなことを考えたりもした。結局、現在の結論から言えばどの道遅かれ早かれ同じ結末を辿っていたんやろうと思う。彼が求めていたものを俺は持ち得ていなかったし、今でも持ち得ていない。
あの頃は、酷い視野狭窄に陥っとったんよ。どうも、俺は恋い焦がれ過ぎると巧く立ち回れなくなるらしい。相手が求めているものだけを与えられなくなる。望んでいないことまで、してしまう。気に入っている、そんな好意ならば相手が求めるものを求めるだけ与えて、求められていない時は大人しく引っ込んでいられるんにな。
会いたいと思わない、なん言えば嘘になる。せやけれども、切れた縁は彼の意思で。懸想された彼と懸想した俺、それだけの関係でしかない。
純粋に話せたらええんになあ。終ぞ、求めているのは俺、だけ。吼えずに、少しばかり鳴く位は自由やろう。ただ、耳に届けばええ。近々、久方振りの文でも。
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13 :
忍足侑士
2010/05/23 00:38
#thank you for !
某所の謙也から頂いたで。シャイの汲み取り方に悩むこと三分、敢えての空欄にしてみたんやけれども良かったやろうか。
>> 【*真夜中の 記 憶 廻筒*】 蓄音機:L/ily.
> *所謂 留守録電話サービスです。
>> *制限時間は現実世界《リアルタイム》で壱分間(記載容量が文面を声に出して壱分間の意)
> *宛先名を口にしては為らない
>> *録音終了の合図に、最後に「#」を附けること
> *尚、録音中でも壱分が経った時点で自動的に「#」にて強制終了されます
>> ※掲載時刻は中宵のみ、陽の当たる頃に晒してはいけない。
> (…プルルルル…、…ピー。)
……一体、今更何を伝えたらええんやろうね。
言葉が滑り落ちてから随分と経つ。御前はそれを忘れて、俺がそれを忘れて。
終いには無かったことになる、のが正しい結末かいな。それもええかもなあ。御前がそれを捨てたから俺も捨てた、なん言うたら御前は更に俺を嫌うんやろうけれども。
何れ、御前は誰かと結ばれ幸せになる。その誰かは俺ではあらへんし、そこに俺は存在出来ない。そして、そこに俺の幸せもない。
――嗚呼、御前がこれを聞く前に留守電を消してくれればええんやけれども。
>> # (、ブツッ)
> *留守録機能の御裾分は如何?
>> 100%★デュース
>>遺言.
>>夏日星に恋をして。
>>melt、
>>■ みのむし ■
俺も、このバトン好きなんよ。せやから、良かったら広めたってえな。あ、勿論スルー可やさかいに。
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12 :
忍足侑士
2010/05/16 13:30
虫食いだらけのフィルムが一つ。コマというコマは全て、虫食い状態。唯一、微かながらに残っているのはコマが有ったと思しき形だけで。思い出せない。
もしかすると、思い出したくないのかもしれへん。あー、何やったかなあ。朧で分からんなあ。意味を持っていた筈の場所だけごっそりと白紙になっているような、形骸だけが、骨組みだけが辛うじて残っているような。
指先でなぞる。確か、日記は在った。せやけど、日記の中身は殆ど忘れてしまった。確か、毎日毎日厭きずに一緒におって話しとった。せやけど、何一つ会話が思い出せへん。どないなことをしていたか、どないなことを話していたか、記憶にない。一緒に外に出掛けたこともあった気ィする。多分。せやけど、何処に行ったんやったかいな。他にも、他にも、まだまだ沢山色んなことが在った筈なんやけれども。俺にはもう、何かが在った筈だという認識しか残っていない。
甘かった場所だけ、きっと紙魚虫に喰われてもうたんよ。俺が覚えているのは極最近の、それだけで。何がどうなって、そうなったのか。その点も抜け落ちてきた。ただ、そのときの感情と刺さった言葉だけは残っている。多分、これは忘れない。これは塩辛いから、紙魚虫も好んで食べて仕舞わんやろう。
…ほんまに忘れてしまったんよ。朧で、分からない。薄い靄が掛かっていた期間は過ぎた。靄はあらへんけれども、気づいたら在った筈の形が、輪郭が滲んでいた。ぼやけていた。あの頃の遣り取りだけじゃなく、あの頃に居た筈の存在そのものも好い加減なシルエットでしか残っていない。表情も声も仕草も匂いも、どれ一つ確かなものはもう無かった。それは確かにそこに在って、多分それは紙魚虫が好む程には甘かったんやと思う。そういう認識しか出来なくなっていた。
これで良かったんやろう。それが抜け落ちたことで救われたのは、きっと気のせいではない。
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11 :
忍足侑士
2010/05/10 21:01
寒かったり、暑かったり、どうも最近は体に優しゅうない気候やね。
春は一体どこに行ってしもうたんやろう。
独り身は慣れさえすれば意外と快適なもんなんやねえ、なん一見典型的やと思われる負け犬の遠吠え紛いな台詞吐いてみたり。まあ、負け犬やろうが勝ち犬やろうが自由気侭に出来ることは素晴らしいて思う。俺は俺以外の誰のものでもなく、誰に契りを立てる必要もない。
今回の発情期は当分、収まらん気ィする。何せ、およそ八ヶ月分の発情期やからなあ(!)随分と保てたもんやて俺自身に吃驚。
暫くはこの勝手気侭な生活を楽しむつもりで。いつかはこの生活には飽きるやろうけれども、それは飽きたときに考えればええ。飽きるまで満喫して飽きたらそこそこ真面目にしよかとも思うたんやけれども、真面目にしようがしまいが出逢うときは出逢うし、惹かれるときは惹かれるもんやからなあ。無理して出逢おうとしても、惹かれようとしても到底無謀な話やろう。穏やかな、愛情に似た情ならば育てられんこともあらへんけれども。
お見合いするでもなし、態々人工的に育てる必要性が無い。
「パンが無ければお菓子を食べればよい」、嗚呼どうかそれだけは言うてくれるなよ。
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10 :
忍足侑士
2010/05/06 14:00
冬の朝がよく似合う彼は、最初から最後まで随分と優しかった。
俺はそないにタフでも丈夫でもない。せやから、夢が必要やったんよ。叶わない夢だとしても、な。そういう意味で彼は酷く機知に富んどったし、人の情緒に敏感やった。
透き通った、綺麗な人やったよ。その優しさに助かったんやろうねえ。結果的に省みて。正しい、判断やったんやろう。俺が望んだ結果とは違うかったんやけれども。寂しくないと言えば嘘になる。俺は彼に違う意味での好意を抱き続けとるけれども、彼が俺を良く思っているのかいないのか、そこから分からんさかい。
沢山の約束めいたことを告げた。否定もせずに話に乗ってくれた。クリスマスに食べたいもんやらバレンタインのお強請やら。どれも叶わんことは知っとったけれども、彼は束の間の幸せを壊さんでくれとった。否定せんで話に乗ってくれとった。俺も、分かっとるつもりなんよ。強制なんかせえへん。これは叶わないことが前提の、やり取り。戯れやて分かっとってくれたから。確かに、現実になれば嬉しい。せやけど、それは叶わんことを了承した上で沢山の来ない未来の話をした。駄々っ子と、優しい母親やね。まるで。幼児と優しい大人。仰山、甘えた。分かっとって甘えた。あちらもそれを分かっとった。そして、俺がそれさえも分かっとって甘えとったことも。世話を焼くことで沢山、甘えた。世話を焼かれることで沢山、甘やかして貰うた。
幸せな、日々やった。束の間の、ほんの短い間の幸せな日々。
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9 :
忍足侑士
2010/05/06 02:50
なあ、ほんに好きやったんよ。何よりも、誰よりも。阿呆の一つ覚えみたいに。
こないなんでも好きやった、…好きやったんよ。
堪忍なあ、好きやった。
好きやったんよ、…御免な。
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8 :
忍足侑士
2010/05/02 21:45
Thank you ――――!
>狼が来たぞバトン<
作成 透明.人間.千石
#嘘吐きだって良いじゃない
#偽った姿でも俺は俺
#本当の俺を判ってくれよ
そんな嘘吐き達に愛の手を!
#いち。まず最初に軽く自己紹介してみようか。
忍足謙也、言うたらアカンやろうか。ハハ、冗談や。
嘘がそないに得意やない、忍足侑士やで。…さて、何処からが嘘なんやろうね。
#にー。本題だけど君は嘘吐き?
嘘はそないに吐かんよ。煙に巻けばええ話。…なんてな、嘘やで(!)
#さん。嘘は嫌い?
嫌いではあらへんね。馬鹿正直におればええ訳やないやろう。
#よん。じゃ、巧い嘘の吐き方って知ってる?
余計なことには沈黙しとく。これに限るんと違うか。
#ごー。あ、今ちょっと思ったんだけど、嘘と法螺の違いって何だと思う?
法螺は元ネタっちゅうか、話を誇張するイメージがあるわ。
#ろく。話がズレちゃったね。そうそう今までで一番上手くついた嘘は?
幸せやと言うたこと、かもしれへんなあ。俺は今で充分に幸せやけど、な。
#なな。それなら、吐いて後悔した嘘ってある?
仰山あるよ。嘘やなくて弁解するのを、理解して貰うのを諦めただけやけれども。意志疎通を諦めた。勝手に解釈してくれ、御前がそう思うならそうなんやないか、って心境やね。
必ずしも相手が理解することを、把握することを選ぶとは限らんさかい。そう、強制する権限もない。
#はち。そっか、じゃこの機会だからある人は謝っちゃおう。無い人はそのまま純真で居てね。
今更、やろう。なあ。今でも理解されへんて思うわ。
#きゅー。この子は自分より上手い嘘吐けると思うって子をお兄さんにこっそりおしえて。
うーん、勘づいとる時点で巧い嘘にはならへんくないか?っちゅう訳で、分からへん。
#じゅー。最後に即席で嘘を吐いてみて!
可愛え子なん、仰山おるよ。
…さて、何処が嘘なんやろうねえ。
#お疲れ様。じゃ、嘘の仮面を剥がしちゃいたい人に回してくださーい。
>>咎人、Ⅱ
少々の好奇心から。気が向けば、回答してみたって。
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7 :
忍足侑士
2010/05/02 17:49
必死に、抱き抱えた匣が在った。確かに、俺は匣の中身を大事にしとった筈なんやけれども。もしかすると俺が大事にしていた何かは当の昔に失っとって、空の匣を抱き締めていただけなのかもしれない。そこに在った筈の何かが、今でも存在し得ると騙し切って。容れ物を、残骸を、撫でていただけなのかもしれない。
きっと、随分昔から破綻し切っていた。破綻し切っている、地図を何度もなぞった。騙されたかった、知りたくなかった。やから、騙した。俺は俺を騙した。都合の悪いことには全て、目を瞑って。破綻し切った夢を、独りで見ていた。それも多分、そろそろ御終い。匣の中が当の昔に空っぽで、ただ足掻くかの如く組み込まれたプログラムに従っておままごとしていたんよ。一人、二役。
全部、残り滓なんやろう。残像、残骸。少しだけ、何かが痛むのも。感情の名残跡。
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