誰もいないうちにと、列車のバスルームに二人で入った。
俺に脱がされることを知っている時、三月は必ずお気に入りの”可愛い”下着を着けている。…俺は本当に、お前の身に付けるもの如何に何というこだわりはないんだ。ただ、俺に可愛いと思われたいという、お前のその気持ちがあまりにいじらしくて…それがたまらない。
だから肌が見えている必要なんてない。脱がしてしまった、パステルカラーの暖かそうな素材の割に太腿だけ無防備な部屋着だって、俺の気を惹くだけなら充分過ぎる。

…それにしても、三月はことごとく俺の施す全てに弱いと思ってはいたが…俺も人のことは言えないな。お互いしか知らないのだから無理もない。拙い手付きも、何故か懲りないところも…呆れるくらい、逐一可愛いと思ってしまう。

濡れた背の白さが、忘れられない。気を抜くと脳裏に過ぎって雑念に惑わされる。それほど、お前が綺麗だったんだ。…また、愛でたい。


思い出した。湯上りにいつも通りに髪を乾かしながらお前の外見的魅力を素直に口にしていたら、真っ赤になって埋まってしまったことも書いておきたい。照れちゃう、待って…と、美少女を自称しているくせに、あの程度ですぐに狼狽える。その原因が恋心であることを知っているから、なおさら愛くるしくて仕方がない。その結果一度着せた服をまた脱がす、その手間さえも愛おしい。